朝日のあたる家

朝日のあたる家


この曲には深い想い出があります。

弾き語りを始めて浅い頃、必ずこの曲をリクエストしては、
お礼にと、メロンやらチップをくれる方がいました。
私にとって初めてのファンというものだったのです。

ピアノに自信がなかった私は、間違えたらどうしよう…と毎回がちがちに緊張し、
いい雰囲気に聴ける弾き方はないものかと研究したりしたのです。

その後、彼は身体を壊し入院…、この曲のリクエストはパッタリ来なくなってしまいました。

緊張する事はなくなりましたが、そうなると寂しい物で私はこの曲をテープに録音し、
蘭の花やフルーツでうめつくされた病室へ届け、
「早く治ってまたリクエストして下さい」とお願いしたのです。彼は涙を流して喜びました。

その時、初めて音楽は素晴らしいコミュニケイションの手段になる事を知りました。

彼は今はこの世にいません。お亡くなりになった時も知りませんでした。
ただこの曲を弾く度に胸がチクンと痛くなるのです